ジハード
 

定金伸治「ジハード」1〜6 [集英社文庫]

時は12世紀後半。血に飢え、野心に満ちた十字軍は聖地をめぐる侵略をくりかえしていた。
そんな野蛮なキリスト教世界に背を向け、英雄サラディン幕下のイスラム軍に加わったヨーロッパ人がいた。
その名はヴァレリー。天才的な軍略で、彼はイスラム文明の危機を救えるのか?
第1回ジャンプ小説・NF(ノンフィクション)大賞に入選し、大好評を博した傑作歴史ファンタジーシリーズが大幅改稿でついに文庫化。
(カバーより)

おもっくるしい小説に飽いたとき、ふと本棚を見たらあった「ジハード」シリーズ。
ジャンプ読者には有名ではないだろうか。私も気付いたら知っていた、ジャンプノベルの代表みたいな小説だ。
これは詰まらない訳がない。そして少年向けなスガスガしい世界を見せてくれるだろう。そう期待して読み始めた。
予想を遥かに超えた面白さでした。特に前半は。
ジハードなんていうからいかにも英雄的な主人公がガンガン戦うかと思いきや、主人公は被虐体質の押しの弱い青年。
あっという間にサラディン側の少女戦士・王妹エルシードの奴隷の位置に納まる。まぁなんとも微笑ましい奴隷生活なのだが。
そこで奴隷兼軍師として活躍。圧倒的絶望的戦況をその知略で凌ぐ凌ぐ。決して勝ちはしないのだけどその力は敵味方両軍に認められていく。
そんな彼にどんどん愉快な仲間たちが集まってくるのですな。戦いの中にあって彼らのやりとりが楽しい楽しい。
この辺少年向け小説的の魅力たっぷりです。敵ももちろん魅力的、リチャード獅子心王を筆頭に、その妻ベンガリア。妹アリエノール。
そしてジハード的配役のウィルフレッド・アイヴァンホーにロビン・ロクスリー(ロビン・フッド)らが小説に花を添える。
話は色々ある割には単調な気はするけどとっても高い位置で安定している感じ。このままいったら凄いなぁ、と思ってたんだけど。。。
後半がちょっと辛いです。ずっとヴァレリーと共にあった彼が、、、そして彼女が、、、してから、、、何かが壊れていきました。
最後の希望、リチャード獅子心王との戦いも、何気に幅をきかせてきた蒼狼のせいでイマイチでしたし。
嫌なレベルの暗さも強くなってきたですし。3巻のラストあたりも・・・でした。これは一般向け改稿した時の産物でしょうか??
あの手の暗さに疲れたから読み始めたのに!
しかしまぁラストは、史実に置けるヴァレリーの位置を合わせて考えると、あのあと・・・したんだなぁと。ふふふ、いい話じゃないですか。
史実と虚構がメチャクチャに入り混じったジハードシリーズ。間違いなく傑作でありました。