上遠野浩平
 
公私混同著者紹介:

ブギーポップ (電撃文庫)

ブギーポップは笑わない

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

君には夢があるかい? 残念ながら、ぼくにはそんなものはない。
でもこの物語に出てくる少年少女達は、みんなそれなりに願いを持って、それが叶えられずウジウジしたり、あるいは完全に開き直って目標に突き進んだり、まだ自分の望みというのがなんなのかわからなかったり、叶うはずのない願いと知っていたり、その姿勢の無意識の前向きさで知らずに他人に勇気を与えたりしている。
これはバラバラな話だ。かなり不気味で少し悲しい話だ。
――え? ぼくかい?
僕の名は”ブギーポップ”――。
第四回ゲーム小説大賞<大賞>受賞。
上遠野浩平が書き下ろす、一つの奇怪な事件と、五つの奇妙な物語。
(カバーより)

正直「殺竜事件」にはさほど感ずるものが無く、上遠野氏の作風とは合わないのかなぁと漠然と思っていたのです。
でも、自分的には「ブギーポップ」の名前の方がメジャーだった。私は本来名作と呼ばれるものから読むことにしているのだ。
どっちが有名で名作かなんて曖昧なものだけど、とりあえずブギーポップだけは読んでおこう、そういう気持ちになった。
読んだ。面白かった。
兎に角、一話目の「浪漫の騎士」がツボ。あとはすんなり読めましたのぉ。
タイトルや、カバーの紹介、最初のカラーページ、そこから受けていたイメージと内容が違ったのも好印象になりました。
もっと特殊な世界観を前面に出したモノだと思ってたんですよ。
でもどっちかというと事件に直接あるいは間接的に関係を持った人たちの視点でメインで、中心となる事件とはさほど関わりの無いところで葛藤してたりする。
本人たちは裏にある事件の根本なんてまったく知らずに通り過ぎていったりもする。
彼らは自分の見える範囲の出来事の中で色々考え生活してるだけなんだけど、読者は彼らの物語と共にその背景にあるものを読んでいくことが出来るのですな。
同日同刻ってヤツですか。それ自体どうということは無いですが、上手い組み合わさり具合なのです。

そして読後まず思ったのが、本当に同一人物なのか、という。作家とはわからないものですねぇ。
これだときっと、殺竜は好きだけど、ブギーはダメって人もいるんだろうなぁ。

確かに面白かったんですが、あまり中毒性は無い感じ。私にとっては依存性の無い薬。
シリーズいっぱい出てますが、それらを読みきるのはずっと先になりそうです。

話には関係ないけど、カバーの絵が好きです。タイトル文字含め全体のバランスが。


ブギーポップ・リターンズ
VSイマジネーターPART1

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

あなたは自分の心の中に、何かが足りないと思ったことはない?
他の人にはあるのに、自分にはそれがないと悩んだことはない?
欠けているものを誰かに埋めてもらいたいと願ったことはない?
そのことなら、もう心配要らないわ。すぐに”そのとき”が来る。新しい可能性がひらかれて、苦しみのすべては終わるときが来る。
私の敵<ブギーポップ>が邪魔さえしなければ――。
私?そうね、敵は私を<イマジネーター>と呼ぶわ・・・・・・。
(カバーより)

↓つづく。


ブギーポップ・リターンズ
VSイマジネーターPART2

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

君にはやらなければならないことがあるかい?
そうしなくてはだめだと思い込んでいることはないかい?
それは君にとって本当に大切なことなのか、真剣に考えてみたことはあるかい?
もし、君がどんなことをしてもやり通すというなら、それもいいだろう。
だがそれが、何の望みも願いもない、ただの暴走であるなら、君は<イマジネーター>の手の中に堕ちているのかもしれない。
もしそうなら、このぼく――<ブギーポップ>は、何度でも君の前に帰ってきて、そして”対決”するだろう――。
(カバーより)

VSイマジネーターを読んでてず〜〜っと思ってたこと、スプーキーEウザい。
いやこれ狙い通りなんだろうけどさ。コイツが邪魔なほどに活きる人もいただろうさ。
しかし私の場合、ヤツがウザすぎて他の事に気が回りませんでした。
逆に言うと、これといって感じ入る話が無かったです。平均的にどれも面白かったけれど。
前回は短編集みたいな感じでしたが、今回はストーリー物のようでした。
そうそう、最後の舞台と演出が大好きですね。
皆が必死に自分の運命と戦っている間に、彼<ブギーポップ>は一生懸命舞台セッティングを進めていたに違いないのです。
そして出のタイミングを計っていたのに違い有りません。そこら辺を想像するととっても楽しめます。


ブギーポップ・イン・ザ・ミラー
「パンドラ」

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

君は運命を信じているかい? 自分たちの意思とは関係なく回っていく世界の流れを実感したことはあるかい?
これは六人の少年少女たちの物語だ。
彼らは未来を視ることができる不思議な力を持っていて、彼らの間でだけその能力をささやかに使っていた。
彼らに罪はない。そして責任もない。しかし――
「これ――ブギーポップ?」
六人の予知にこの僕の幻影が現れた時、運命の車輪は回りだした・・・・・・。
(カバーより)

これ大好きです。最高です。兎に角、主役の六人がステキなのです!!
感動しました。最初から最後まで面白かったので、特にどこがどうとは言えないのですが、というか何処がと限定したくないです。
兎に角、六人がね。こう、もう、いい感じなのです。余韻に浸っておりますです。


ブギーポップ・オーバードライブ
歪曲王

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

”僕は歪曲王。君の心の中にある歪みに君臨するもの。君が歪みを黄金に変えることができるまで、ぼくはずっと君の側にいるだろう――”
二月十四日の聖バレンタイン・デイ。都市のど真ん中に屹立する異形の高層建築<ムーンテンプル>の観覧イベントに集まった人々を巻き込んで世界が歪んでいく。
人々に甘く囁きかける歪曲王は、すべてがねじ曲がったその世界こそ天国にいたる階段だという。
そして、そこにはもうひとつ奇妙な影がまぎれていた。
”やはり来たな、ブギーポップ・・・・・・・!”
人の心に棲む者同士が相まみえる時、終わりなき一日が、幕を開ける。
(カバーより)

読了。


夜明けのブギーポップ

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

君はこの世に取り返しがつかないことはないと思うかい?辛い過去も、どうにかして清算することができると思うだろうか。
それとも過去は、触れることのできない暗部でどうしようもないかな?
昔に起きたことはその後のすべてを決めて変えることはかなわないのだろうか?
・・・・・・これはぼく、ブギーポップの誕生に関する物語だが、ここには四人の変わり者が登場する。
彼らは探偵で、人の恐怖を喰らう者で、作家で、暗殺者だ。彼らが炎の魔女に出会うときに、四人の辿る道を、あなたは取り返しのつかぬ失敗と見るか、それとも――
ささやかで不思議な、六つの異形の視点から語られる、ブギーポップ最初の事件。
(カバーより)

読了。


ブギーポップ・ミッシング
ペパーミントの魔術師

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

君は何かを取り逃が(ミッシング)してしまったことはあるかな?
とても大切なことだったのに、つまらない意地を張ったり、目の前のことばかりに気を取られて見逃してしまったことはないかい?
・・・・・・これはそういうことを繰り返さざる得なかったある魔術師の話だ。彼は天才で、成功者で、そして失敗者だ。
この魔術師が辿る一途で愚かで、そして寂しく陽気なこれはアイスクリームの物語。
冷たく鮮烈な甘さは、一瞬の、そう、このぼくブギーポップですら見逃してしまうほど速く、あっという間に溶けて消えてなくなっていくひとときの慰み――
道化師と死神とそして夢破れた人々が織りなす、無邪気で残酷な哀しいお伽噺。
(カバーより)

とてもとてもとても面白かったです。


ブギーポップ・カウントダウン
エンブリオ浸蝕

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

人の心の中にはひとつの卵があるという。
その卵は心の中で表向きは無いことになっている何者かを蓄えながら育っていき、殻の中で生まれ出るその日をずっと待ち続けているのだという。
それが殻を破ったとき、その可能性はこのぼく、ブギーポップをも凌いで、世界を押し潰すかも知れない。
・・・・・・そして卵の指し示す運命にここにひとつの対決を生み出す。一人は既に最強で、もう一つはこれから殻を破る。
だが宿命の秒読みは二人が出会うそのときまで刻まれ続ける。最強と稲妻、この二人は己の生きるたったひとつの道を見出すため、多くの者を巻き込み避けられぬ激突を迎えることになるだろう――
謎のエンブリオを巡る、見えぬ糸に操られた人々の死闘の第一幕がいま上がる。
(カバーより)

真っ当に戦う戦う。戦闘タイプ同士の激突。なのか。
小説のバトル物は苦手なのですが、これは面白かったです。"浸蝕"編の私的見所は最後の方のイナズマっちの葛藤です。
P230〜P233特に、P232の、亨は―――どこかで不安だった。、以下の部分がグササーっときましたですよ。


ブギーポップ・ウィキッド
エンブリオ炎生

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

世界って奴ァ悪意に満ちていると思わんかい? 普通に生きているつもりでも、どこで足元掬われるかわかったもんじゃねえよな――
俺はエンブリオ。人の心の中の殻を破らせる存在。望むと望まざるとに関わらず、俺に触れたものは過剰な可能性を引きずり出され、災厄に巻き込まれることになる・・・・・・
そしてその災厄が今、最強と稲妻の再対決を呼ぶ。この命運を賭けた決闘が決着の時を迎えるとき、街は震撼し、高らかな炎が上がり、そしてブギーポップの奴は悪意(ウィキッド)たっぷりに運命に介入してきやがるのだ・・・・・・
不思議なエンブリオを巡る死闘の果てに待つのは地獄か未来か、それとも――
(カバーより)

最強と稲妻が再度対峙してからちょっとグダグダ展開しすぎたかなー。
それはそうと正樹クンと織機さんをもうちょっとイチャイチャさせて欲しいものです。


ブギーポップ・パラドックス
ハートレス・レッド

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

”世界の敵”とは何だろうか? ヤバいことばかり考えている奴がそうだというのなら、この世は既に敵だらけだろう。
このオレ、霧間凪には難しいことはわからない。だがその善悪の境界線みたいな所をブギーポップの奴は歩いている気がするし・・・
・・・そしてオレが中学生の頃に出会ったあの変わり者の女、九連内朱巳(くれないあけみ)もまた、両方にまたがる場所に立っていた気がする。
悪を恐れず、善に怯まず――あの<傷物の赤>はそういう少女だった
――生命を停められた被害者たち。どこから襲ってくるか予測不能の敵。無為なる危機に対し霧間凪は如何に戦うのか。
そして背後に迫りくる黙示録の予兆が――切ない恋心が”心のない赤(ハートレス・レッド)”に変わるとき、少女は何を決断するのか?
(カバーより)

九連内親子の関係が凄くいいなぁ、と思う。そして九連内朱巳さんが素敵。
心にどんな嵐が吹こうとも、やる事はしっかり出来ちゃう人、出来ちゃうっていうかどうしてもやってしまう人、って好きです。
逆か? どうしようもないときにやる事をやりながら同時に動揺も出来る人、というか。”どっちか”にならない人に憧れます。


ブギーポップ・アンバランス
ホーリィ&ゴースト

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

君は知っているかな、あのホーリィとゴーストの伝説を?
あの若い男女二人組の犯罪者はあまりにも誤解されすぎている。
強盗、騒乱、破壊活動を繰り返した彼らは別に悪いヤツじゃあなかった。
衝動(プッツン)で暴れていた訳じゃない。世の中に反抗してた訳でもない。
二人はただひとつの選択をしただけ――それは”だって、ほっとけないし”という気持ち。 だが哀れな世界の敵<ロック・ボトム>を開放しようとした彼女らの行動の数々の悪を呼び寄せ、遂には死神であるぼく、ブギーポップとの対面を呼ぶ――
悪に依存せず、正義に従順でもない二人組(カップル)が、後先考えない陽気な犯罪と空回りのあげくに辿り着く先は生か死か? あるいは――
(カバーより)

ブギーポップは普通の人たちが頑張る話のほうが面白いなぁと思う。
その普通というのは、特別な能力を持っていない、というだけの普通だが。
ホーリィ&ゴーストもスリム・シェイプもタルもジェスも素敵です。


ブギーポップ・スタッカート
ジンクス・ショップへようこそ

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

君にはツキがあるかい、それとも万事うまくいかない感じかな?
変なジンクスがつきまとい、何をしていいか分からないって経験はないかな?
だが逆に、ジンクスを自由に身につけることができるとしたら、その人間は運命を我がものにできるということになるのかも知れない。
君は運命を手に入れたら何をするだろうか・・・・・・
街の奇妙な店が売るものは、人に楽しみと不安を等価値に与え、何処とも知れぬ場所に導くだろう。
だが、その先に待っているのは口笛を吹く死神で――
運命を操ろうとする者たちと、それを眺める者と、それを断ち切る者たちが奏でる断音符(スタッカート)だらけの耳障りな交響曲が悪夢と未来を同時に歌う――。
(カバーより)

伊藤谷さんと不二子さんが大好き。
話は、変な人たち、世界の敵さん候補がいっぱいでイマイチでした。


ブギーポップ・バウンディング
ロスト・メビウス

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

”君の胸の奥のその「動機」とやらは、実は空っぽなんじゃないのかい・・・・・・?”
ブギーポップに復讐する。ただし誰のためでもなく、己自身のために――
その執念に取り憑かれた少年が、内気な少女織機綺と共に”牙の痕”と呼ばれる地に足を踏み入れた時、混迷は幕を開ける。
メビウスの輪のように裏表も定かでない異界に迷い込んだ二人の前に現れたのは、心の闇から顕れた爆弾の群と、鬼とも人ともつかぬ奇妙な子供”ブリック”だった――
己の迷いに気づけない少年と、迷いの弱さに悩んでいる少女と、何処に行くべきかさえ知らぬ魔物が彷徨う――そこは境界。
果てなき虚空と、儚き想いとの狭間に位置する迷宮に”破壊”が渦を巻くとき、死神が人に告げる言葉は断罪か、赦しか、それとも――
(カバーより)

ジンクスショップでも思ったけど、ずっとあった流れから外れている感じがする。
そして今回は、今までの出来事の大局的な部分を次へ繋ぐ、次への複線ぐらいのものしか感じ取れなかった。
何か大きな話が動き出したんでしょうか。。
なんにせよコレ単品としてはションボリでした。。


ブギーポップ・イントレランス
オルフェの方舟

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

彼女の敵は世界。周り中のすべてを焼き尽くしても、なお足りぬ怒りと憎しみの対象――理由などない。生まれたそのことが間違いだったとしか言いようがない。
生きながら冥界にいるのと同じように、心が凍てついている。・・・・・・でもその心の中にひとつだけ例外がある。喩えるならば神話のオルフェのように、 一度は死んだはずの人間を助けにあの世まで下りていき、死神にも挑んだ少年の――嘘で塗り固められた世界の謎に挑もうとする者と、さらに大きな嘘を押し通すため、 謎を利用しようとする者たちが織りなす、これは虚しき仮面劇の物語。その欺瞞の行き着く先に待つものは、燃える世界か、凍れる未来か――容赦なきブギーポップは彼女たちに如何なる裁きを下すのか?
(カバーより)

タイトルその他が大仰すぎて、章間の間合いが変な感じに。解釈云々の前にも神話ってば匙加減が難しいのね。
話はなんかあっけなかったです。いつもどおりと言えばいつもどおりな気もし、スカスカと言えばスカスカな感じもし。
スカスカなのは自分の脳内に残っているブギーポップ分な気もして。前作から読む間が空いたからかな?
でも久々に個人的に嫌味の少ない話で楽しめました。

(2006/04/19 読了)
(2006/04/23 記)



TVシリーズシナリオ集
ブギーポップは笑わない I

[上遠野浩平]
[電撃文庫]

-

未読。


戦地調停士シリーズ (講談社ノベルス)
殺竜事件

[上遠野浩平]
[講談社ノベルス]

竜。それは善悪を超越したもの。
勇者を十万、軍を千万集めても倒せぬ無敵の存在。その力を頼りに戦乱の講和を目論んだ矢先に、不死身のはずの竜は完全閉鎖状況で刺殺される――
「事態が不条理だからこそ、解決は論理的なのさ」
戦地調停士ED(エド)は謎に挑むため仲間と混迷の世界に旅立つが――
ミステリーの”謎解き”とファンタジーの”異世界”がひとつの物語に融合する。
さあ読者諸君、仮面の男と冒険の旅に出かけよう!
(カバーより)

うーん。読んでる最中に色々余計なこと考えちゃってイマイチ楽しめませんでした。納得する為に自分で無理に解釈を加えたり推測したり。
(主にレーゼ・リスカッセ視点で書かれているのですが、彼女は、月紫姫が「退屈だ退屈だ」なんて言ってる場面は見てないはず(しかもあの会見は姫にとって退屈な出来事ではないはず)なのに、それを使って人物評価をしてたり。シーン見逃した?)
深く考えずに、書いてある通りに受け取れば、楽しめるのかも。
今回はシリーズ初回とあってか世界観の説明的な部分も多かったので、次回辺りからはこなれてきて楽しいかもしれません。
少佐とEDの目標が、物語を追うごとに(解明されるのではなく)進行していくのなら、続きを読んでみたいです。その辺どうなんでしょうかね。