三橋一夫
 
公私混同著者紹介:

三橋一夫ふしぎ小説集成(出版芸術社)
腹話術師

▽収録
「腹話術師」 「猫柳の下にて」 「久遠時の木造」 「トーガの星」 「勇士カリガッチ博士」 「白の昇天」 「脳味噌製造人」 「招く不思議な木」 「級友「でっぽ」」 「私と私」 「まぼろし部落」 「達磨あざ」 「ぼおぼぶの森の彼方」 「島底」 「鏡の中の人生」 「駒形通り」 「親友トクロポント氏」 「死の一夜」 「歌奴」 「泥的」 「帰郷」 「人相観」 「戸田良彦」
(三橋一夫)「まぼろし部落」のころ
(東 雅夫)不思議作家の不思議人生
(日下三蔵)解説

帯「奇想天外 幻の和製ファンタジー作家のふしぎなふしぎな物語!!」

昭和23年、林房雄の推輓で「新青年」に登場するや、横溝正史、山本周五郎といった作家たちから絶賛を受けた三橋一夫の連作「不思議小説」シリーズ。 過去二回刊行された選集の全収録作に、未刊行の中・短編を増補してその全貌を明らかにする待望の作品集成、ついに登場!
第一巻には、デビュー作「腹話術師」以下、「勇士カリガッチ博士」「親友トクロポント氏」など初期の秀作を一挙に収録! さらに戦前の私家版に収録された4短篇を含む未刊行作品6篇を追加する。
(帯裏より)

先日、城昌幸の未読掌編を数作読んで、再びちょっと不思議な短編は読みたくなったのだった。
そんなとき思い出したのが、三橋一夫で、出版芸術社のふしぎ小説集成は全三巻、本棚に揃っていた。
読み始めた。ハマった。今読みたい小説ど真ん中だった。
どれも単純な寓話などでは無いところが良いです。説教臭くなく、変に因縁めいても居ない。
怪奇というほど流れている空気は湿っていない。全てをまとめて要約するならばやはり不思議小説というしかないのです。
週末に半分ぐらい一気に読んで後は通勤列車のお供に加わりました。
読んで余韻に浸りながらエッセイ「「まぼろし部落」のころ」を読んでたら、
私の小説は、怪奇小説とか、不思議小説などと言われているが、実は私小説なのである。
などと書いてあってビックリ。「カラダで体験したこと」「心の中で経験したこと」を「そのまま書いてるつもりが」「テレ性なので」「へんな具合になってしまう」そうである。
どうテレたらこんな話になるんだろう。。
その辺を枕にした東雅夫氏の解説も凄く良かったです。これは国書刊行会版『勇士カリガッチ博士』に載った物の採録だそうだ。
いつもどおり簡潔で要点を押さえた日下三蔵氏の解説含め、この一冊には大満足。この集成がまだあと二冊あるんだから嬉しい限りです。

(2006/12/02 読了)
(2006/12/03 記)


鬼の末裔

▽収録
「不思議な帰宅」 「湯河原奇遊」 「二人のユリ」 「殺されるのは嫌だ」 「白鷲魔女」 「カボチャ奇譚」 「怪獣YUME」 「角姫」 「帰り来りぬ」 「蛇恋」 「歯型」 「影」 「鬼の末裔」 「あそこにもう一人の君が」 「暗殺者」 「三井寺の鐘つき男」 「女怪」 「沈黙の塔(ダクーマ)」 「帰って来た男」
(三橋一夫)エッセイ
 -怪談に就いて
 -「まぼろし部落」はどこへ行ってしまったか
 -探偵小説のモラルに就いて
(森 英俊)三橋一夫の小説世界
(日下三蔵)解説

帯「天衣無縫 呆気にとられる法螺話から背筋がゾッとする怖い話まで→」

これも面白かったー
どの話も面白かったのですが、今回は最後にね。こう最後に、、
最後に「帰って来た男」持ってくるのは反則だと思うのです。後引くですよ。。
浦島太郎をモチーフにした作品なのですが、なんですかこのラストの物哀しさは。。
何故お甲さんだけ、、、、なんですか。せめて何故間に合わないのですか。
もっと、この話で言うところの流行歌な人で良かったのに。。
兄の子供たちに会ったのは救いだったのか。色んな感情が綯い交ぜになったに違いない。
連れて来いとも言わず、自分から会いに行くこともなく、おそらく会いたいとも伝えなかったろう。
それは間太郎に対する負の感情では全然無くて。。でもだからただ待つしか無かった。
間太郎を責める気にはなれないし。乙子が黙ってたことが悪いとも思わない。
だからどうしようも無く胸を突く。今のこの気持ちどうすればいいですか。

(2006/12/09 読了)
(2006/12/03 記)


黒の血統

▽収録
「生胆盗人(いきぎもぬすっと)」 「怪しの耳」 「夢」 「天から地へ」 「秋風」 「黒の血統」 「その夕べ」 「不思議な遺書」 「霊魂のゆくえ」 「空袋男(からっぽおとこ)」 「或る晩年」 「幕」 「ハルポックとスタマールの絵印」 「ミスター・ベレー」 「再生」 「第三の耳」 「なみだ川」 「浮気な幽霊」 「アイ・アム・ユー」 「猫」 「沼」 「片眼」 「天狗来訪」 「とべとべ目玉」
(日下三蔵)解説
(森 英俊)三橋一夫・小説著作リスト

帯「融通無碍 怪奇(ホラー)? 推理(ミステリ)? 幻想(メルヘン)? 不思議小説としかいいようのない三橋一夫の世界へようこそ!」

あーー読み終わってしまった。。最後まで面白かった!
初めて三橋一夫に触れたのは創元推理文庫の『日本怪奇小説傑作集2』に収録された「夢」だったのですが、 そのときはそれほど感じるものは無かったのです。が、こうして纏めて読んでみてその「夢」も含めて、 この集成に収録された作品全てが大好きになってしまいました。すっかり氏の不思議小説ワールドを取り込まれ彷徨いました。
これでもう私が気軽に手に取れる場所に三橋一夫の不思議小説は無いのですね。。残念です。。

(2006/12/03 記)
(2006/12/17 読了)
(2006/12/29 追記)