奈須きのこ
 
公私混同著者紹介:
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DDD -Decoration Disorder Disconnection- (講談社BOX)

DDD 1

感染者の精神だけでなく肉体をも変貌させる奇病、A(アゴニスト)異常症患者――俗に言う”悪魔憑き”が蔓延る世界。
左腕を失った男、石杖所在(いしづえアリカ)と、漆黒の義手義足を纏い、天蓋付きのベッドで微睡む迦遼海江(かりょうカイエ)の二人が繰り広げる奇妙な”悪魔祓い”とは――!?
(匣より)

「J the E.」
「Hands.(R)」
「Hands.(L)」
「formal hunt.」

ファウストに掲載された作品に書き下ろし「formal hunt.」を加え、講談社BOXから発売されました。
内容は『空の境界』と同種の短篇連作で、ファンにはお馴染みの、きのこワールドに準拠している。
だが、今回主人公の席に座っているアリカの性格故か、これまでの奈須氏関係の作品と別種の印象を持つ人も多いようだ。
『空の境界』そして奈須氏がシナリオを担当したゲーム『月姫』『Fate/stay night』『Fate/hollow ataraxia』で既にファンになった人も注意が必要かも。
私は、期待通りの奈須節だ、と思って喜んでファウスト読んでた方なので、気になった人はやはり読んで自分で判断するのがいいと思う。
発表の場の知名度から逆にこのDDDから入る人も多いでしょうね。そちらの人も同様に。。
小説的型でいうと(ネタバレ)人物誤認型の叙述トリックばりばりなので、構造・手法重視で読むと、こうやってまとめて読むと尚更に、単調に感じるかもしれない。
きのこワールドの頭までどっぷり浸かれる人には瑣末な問題で、そういうところで判断するジャンルでもないかと。というかむしろこの手法で書きたいんですよ、これ趣味全開なんですよ、きっと。
仲間と作るゲームのシナリオライターとしての氏の作品と、一人で書く小説家としての作品と、たとえテキストだけ取り出し媒体による違いを考慮し比較したとしても、含まれる奈須氏本人の成分比率の違いは明らか。
より素の、奈須きのこを味わえるのはやはり小説だろう。
しかし最高のスタッフと一丸で作られるTYPE-MOON作品には別の頂が見えるので、ファンの葛藤は続くのである。
どんどん小説書いてくれ。でもどんどんゲームも作ってくれ。そんな無茶を望んでしまうんである。

ゲームと言えば、初め同時期発表のゲーム『Fate/hollow ataraxia』とこの『DDD』とのコラボも予定にあったそうです。どこかで奈須さん本人が語られてました。
DDDは"贋物の悪魔"憑き、ホロゥは"本物の悪魔"憑きの話。世界も要素も同じ、だが視点もアプローチも作品の雰囲気もまるで違う両者がどう交錯するのか見たかった気もする。

同世界といえば、カイエくんの義手義足を作ったのはどうやらアノ人らしく、ファンには、にやりポイントである。

・・・全然内容も感想も書いてないですね。。
二年前のとある出来事で、左腕と、昼間の出来事を記憶出来ないという脳機能の障害を負った石杖所在と、四肢が無い自称悪魔の美少年・迦遼海江と、悪魔憑きのお話。
アリカはカイエの世話する仕事に就いている。
カイエは特別特殊な義手義足を持っていて、アリカはその左腕の義手が欲しい。カイエはアリカの失われた左腕が欲しい。
今のところ関係は良好。見ていて楽しい。
登場人物の口から語られる人間・物事の観察眼とその方向性は相変わらず興味深くかつ面白い。
それは人物造形にも活かされていて確実にキャラ小説であるのだがその深度は深い。
ともすれば退屈になりがちな、単純なの日常も、人物描写も、面白く読めてしまう。
彼らを愛すれば否応無しに今後の展開に期待させられる。
カイエはアリカをイジるのが楽しいらしく、アリカは反発しつつもカイエの顔にクラっと来てたりする。カイエが男だと知って絶望しつつも。
だがその関係も微妙な天秤の上になりたっていることが示唆されていて、今後この関係の変化が物語の焦点の一つになりそうだ。
アリカの左腕をペロっちゃった困ったちゃんとも近く接触がありそうで、、、。この作品をどの程度のスパンで書くつもりなのか不明ですけど、次巻で一波乱ありそうですね。
本の巻末にあるとおりに、DDD 2 Coming soon...、であることを(小説執筆活動を応援する方の自分は)大いに期待しています。

(2006/01/10 読了)
(2006/01/13 記)


DDD 2

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(2007/08/12 読了)
(2007/08/13 記)


空の境界 -is nothing id, nothing cosmos- (KINOKO NOVELS(同人))


空の境界 上・下

そして、長い昏睡から両儀式は目覚めた。後遺症として生まれた、物の死を視る眼。
ナイフだけであらゆる物を“殺す”事ができる力は、式を昏い世界へと誘っていく。
二年前の殺人鬼。浮遊する幽霊の群れ。物を視るだけで歪曲させる少女。人の死を蒐集する螺旋建築。
数々の怪異と式の魔眼が衝突する時、忘れられていた記憶が蘇る───。
(カバーより)

主に「俯瞰風景」「殺人考察(前)」「痛覚残留」「矛盾螺旋」「忘却録音」「殺人考察(後)」からなる続きものの短編集。
製本時(?)に繋ぎの部分が入って、一本スジが入った感じ。なんだかホントに串を通した感じで個人的には無くても良かったかなぁとも思いました。
特に最後の「空の境界」。私は「殺人考察(後)」の引きが最高に好きなのですよ。。
世界観的には、現実世界に準拠したSF、なのかなぁ。ジャンルとしては「伝奇」らしいです。
世界観・物語もさることながら、主役の両儀式と黒桐幹也他、登場人物達も魅力的。
ちょっと現代的なエゲツナイ表現があるので要注意ですが、それ以上に面白いです。
個人的には「殺人考察」「忘却録音」が好きですね。
「俯瞰風景」はCDドラマにもなってます。かなり良い出来なので読んで面白かったら探してみるのも良いかも。


空の境界 -the Garden of sinners- (講談社)


空の境界 上・下

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講談社ノベル版です。
同人版から更に加筆修正されているらしいですが、まだ読んでいないのでどこかは不明。
こちらは買うつもりじゃなかったのですが、書店で平積みされている様が何だか不思議だったので買ってしまいました。