天藤真
 
公私混同著者紹介:

天藤真推理小説全集 (創元推理文庫)
遠きに目ありて

成城署の真名部警部は、とある縁で知り合った岩井信一少年の並外れた聡明さに瞠目するようになる。
手ほどきしたオセロゲームはたちまち連戦連敗の有様だ。
ある日、約束を反故にしたお詫びかたがた目下の難事件”多すぎる証言の問題”について話したところ、少年は車椅子に座ったまま……。
数々のアイディアとトリックを駆使し、謎解きファンを堪能させずにはおかない連作推理短編集。
(カバーより)

天藤真推理小説全集【1】

ミステリでここまで陽性な物語が書けるのが凄い。それでいて針も隠し持っているという。
主人公の少年は身障者なのですが、その手のいやらしい毒が無いのでよいです。
簡単ですが、ツボを押さえたトリックなので、楽しく読めました。


皆殺しパーティ

誕生祝いの席上、地方都市のドン吉川太平にもたらされた殺害予告。
殺人は被害者の人生の総点検であるというが、後ろ黒い前歴を洗い出してみるに容疑者は数知れず。
しかし実際の殺人者は思いも寄らぬところからやって来た!
標的となった太平自身の手記が、巧まざるユーモアを湛えつつ、意外や意外の行く立てを描き出す。
殺害予告に始まる死屍累々の大事件、その幕切れは如何に?
(カバーより)

天藤真推理小説全集【5】

天藤真のミステリ小説が語られる際に必ずというほど言われるユーモア。
こんだけガンガン人が死んでいきながらも、なんだか明るく楽しいのだから凄い。
次々と事件が展開するのですが、謎解き・犯人当て要素が損なわれることなく、うまく出来てると思います。


大誘拐

三度目の刑務所生活で、スリ師戸並健次は思案に暮れた。
しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには――
早い話が誘拐、身代金しかない。
雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備万端調えて現地入り。
片や標的に定められた柳川家の当主、お供を連れて持山を歩く。
……時は満ちて、絶好の誘拐日和到来。
三人組と柳川としの熱い日々が始まる!
(カバーより)

天藤真推理小説全集【9】

天藤真を読むようになったのは、学校行事のバス移動時になんどか見せられた映画「大誘拐」を見たことがキッカケ。
誘拐がテーマなのに、決して暗くならず如何にも邦画的な楽しさ・情味に溢れた作品で、何度見ても面白いですね。
小説の方も同様の楽しさに溢れています。なんといってもお婆ちゃんのキャラが良いです。
終始、機知と人情と健全なハラハラ感とユーモアに満ちていますが、最後の最後に瞬間的に見せた婆さまの心の闇に背筋が寒くなりました。
闇というか悲哀ですか、年齢を重ねた人のみが出せる深さ凄みというか、、短い文章に見事に表現しきっています。またそれを一瞬間に止めている。
それが最後に物語り全体にそれまでの雰囲気を壊さずに一つ深みを加えています。
ミステリとしてもしっかり面白いですし、日本人にしか書けないミステリ。
日本のミステリ小説の最高傑作の一つだと思います。