戸板康二
 
公私混同著者紹介:

中村雅楽探偵全集 (創元推理文庫)

中村雅楽探偵全集 1
團十郎切腹事件

江戸川乱歩に見いだされた「車引殺人事件」にはじまる、老歌舞伎俳優・中村雅楽の推理譚。
美しい立女形の行方を突きとめる「立女形失踪事件」、八代目市川團十郎自刃の謎を読み解く、第42回直木賞受賞作「團十郎切腹事件」など全18編。
旧「宝石」掲載時の各編解説をはじめ豊富な資料も併録。
ミステリ史に燦然と輝く名推理の数々を完全収録した、《中村雅楽探偵全集》堂々開幕!
(帯より)

▽収録
「車引殺人事件」
「尊像粉失事件」
「立女形失踪事件」
「等々力座殺人事件」
「松王丸変死事件」
「盲女殺人事件」
「ノラ失踪事件」
「團十郎切腹事件」
「六スタ殺人事件」
「不当な解雇」
「奈落殺人事件」
「八重歯の女」
「死んでもCM」
「ほくろの男」
「ある絵解き」
「滝に誘う女」
「加納座実説」
「文士劇と蝿の話」

  ・河出書房新社版『車引殺人事件』序 (江戸川乱歩)
  ・旧「宝石」所収各編解説 (江戸川乱歩)
  ・立風書房版『團十郎切腹事件』作品ノート (戸板康二)
  ・立風書房版『奈落殺人事件』作品ノート (戸板康二)
  ・講談社文庫版『團十郎切腹事件』後記 (戸板康二)
  ・講談社文庫版『團十郎切腹事件』解説 (小泉喜美子)
  ・創元推理文庫版解説 (新保博久)
  ・創元推理文庫版編者解題 (日下三蔵)

行きつけのサイトで紹介されていて興味を持った。最初に出た正式ではない(?)発売予定は去年だったと思う。
江戸川乱歩に見いだされた「車引殺人事件」にはじまる、老歌舞伎俳優・中村雅楽の推理譚(東京創元社サイトより) であり、元々、演劇評論家で題材の歌舞伎の知識も確かで、話の道具立ても見事、との評判。
全集だから面白かったら関係作品くまなく読めるし、これは手を出すしかないと思った。
二月下旬発売されたのでさっそく手に取り、その時読んでいた小説も読み終わったので早速読んでみた。
予想を遥かに超えて面白かった!!
歌舞伎や劇場の舞台裏、小道具の数々。それが歌舞伎どころか演劇もろくろく知らない私でも楽しく読めるように書かれていて、また推理モノとしてもちゃんと面白い。
探偵役である老優・雅楽とワトスン役である記者の竹野さんの関係・人柄もいい感じ。更に物語の語り口も落ち着いていてかつ味のある文章なのである。
読んでいて思う浮かぶのが岡本綺堂の半七捕物帳。解説で乱歩も指摘している。考えることはみんな同じらしい。
戸板さん本人も雅楽の口調に影響はあるかもしれないと作品ノートの中で言ってる(真に意識したのは別の人らしいが)。
雅楽と私(筆者)の関係性もそうだけど、もう作品全体に漂っている雰囲気があのなんともいえないいい空気なのです。
綺堂ファンはかなりの確率でハマれるのではないでしょうか。
その綺堂との類似性を指摘しつつ、戸板氏の独自性を認める、「河出書房新社版『車引殺人事件』序(江戸川乱歩)」は正に!という名文。
それにしても、これがあと4冊分読めるのだから嬉しい限りです。

何気に編者がおなじみの日下三蔵氏だったわけで。やはり関係資料もバッチリなわけで。その方向でもこの全集は大満足になるのではないかと期待しております。

(2007/03/11 読了)
(2007/03/11 記)


中村雅楽探偵全集 2
グリーン車の子供

▽収録
「ラッキー・シート」
「写真のすすめ」
「密室の鎧」
「一人二役」
「ラスト・シーン」
「臨時停留所」
「隣家の消息」
「美少年の死」
「八人目の寺子」
「句会の短冊」
「虎の巻紛失」
「三人目の権八」
「西の桟敷」
「光源氏の醜聞」
「襲名の扇子」
「グリーン車の子供」
「日本のミミ」
「妹の縁談」

  ・徳間ノベルス版『グリーン車の子供』あとがき (戸板康二)
  ・講談社文庫版『グリーン車の子供』解説 (小泉喜美子)
  ・受賞の言葉 (戸板康二)
  ・『グリーン車の子供』をめぐって (佐野洋)
  ・創元推理文庫版解説 (巽昌幸)
  ・創元推理文庫版解題 (日下三蔵)

感想を書いたのですが、誤って消してしまった。ショック。。
相変わらず面白い。ゴールデンウィークの一日を消費して一気に読んでしまった。
通勤の慰みにちびちび読む予定だったのに。。
「美少年の死」や「妹の縁談」など、濃くなり勝ちなネタを、通常濃く書かなければ説得力が出なそうな話を、 雅楽探偵譚にハマるぐらいスッキリ書き上げ、しかも説得力ばっちりに仕上げられてたのはビックリしました。しかも短篇。。
今回、特に書き出すとすればそこでしょうか。
しかし、もう全編物凄く高いレベルで仕上がっていて、それらが浮いてしまっているわけではない。
そいつらが全体にスっと馴染んでるんだから堪らない。3が待ち遠しいです。

(2007/05/04 読了)
(2007/05/12 記)


中村雅楽探偵全集 3
目黒の狂女

▽収録
「かんざしの紋」
「淀君の謎」
「目黒の狂女」
「女友達」
「女形の災難」
「先代の鏡台」
「楽屋の蟹」
「お初さんの逮夜」
「むかしの写真」
「砂浜と少年」
「大使夫人の指輪」
「俳優祭」
「玄関の菊」
「梅の小枝」
「女形と香水」
「子役の病気」
「二枚目の虫歯」
「コロンボという犬」
「神かくし」
「芸養子」
「四番目の箱」
「窓際の支配人」
「木戸御免」

  ・講談社版『目黒の狂女』あとがき (戸板康二)
  ・講談社版『淀君の謎』あとがき (戸板康二)
  ・創元推理文庫版解説 (松井今朝子)
  ・創元推理文庫版編者解題 (日下三蔵)

旅行行くときに持っていこう、と我慢していて、先日遂に読了。
「かんざしの紋」「淀君の謎」は異色です。「かんざしの紋」は雅楽は名前だけ。「淀君の謎」は歴史推理モノです。
旅先で人に貸したときそれを読ませてしまった。。自分もそこまでしか読んでなかったからだが、、まぁいいか。
今回は、役者の恋(役者と女)といった話が多かった。舞台上の色気にも繋がるってスジのモノが多いのだが、もうなんかその短篇の文章そのものからも色気が出ている感じがした。
歌舞伎はもとより演劇関係さっぱり見ないので、歌舞伎役者の女形(立役もか)の舞台での色気って言われてもピンと来ないのだが、そういうものあるんだろうなぁと思った。
また、物語とは関係ないが、松井今朝子さんの解説を読んでいて、小説がダメなら、雅楽シリーズにターゲットを絞った歌舞伎本(雅楽シリーズ超注釈本)を書いてくれ、と思った。
詳細な解説が無くても全然楽しめるのだが、知っていたほうが面白いに決まっているのだ。ホント誰かやらないかなぁ。

(2007/07/23 読了)
(2007/07/24 記)